「ドメブラ高くて買えないんだよな〜」
「普段はセレオリだけど、何か1着もっと良い服が欲しいんだよな〜」
「とにかくコスパの良いものがいいんだよな〜」
そんな方におすすめなのが、今回ご紹介するCornier(コルニエ)。
2022年春夏にデビューしたばかりの新興ブランドなのですが……。
なんと原価率50-60%を誇り、さっそく服好きたちの注目を集めています。
極上素材を用いたラグジュアリーな服であるにもかかわらず、手の届きやすい価格なのがポイント。
一体どんなブランドなのか、注意点も含めて、これから解説していきましょう。
前半はブランド解説、後半は2022年秋冬コレクションのレポートの2部構成でお届けします。
Cornier(コルニエ)ってどんなブランド?
Cornier(コルニエ)は先述の通り、2022年春夏にデビューした日本のブランド。
通常アパレルメーカーの原価率は30%前後と言われていますが、中間業者を省くなどの工夫を重ね、原価率50-60%を実現しているのが大きな特徴です。
デザインというよりは、素材のクオリティで勝負するブランド。
上質なウールや水牛ボタンなど、ラグジュアリーな素材をふんだんに用いています。
価格帯は、具体的に言うと、ウールのシャツが2万円、ウールのロングコートが5万円ほど。
セレオリ(セレクトショップのオリジナル商品)よりは一回り高いですが、それでもドメスティックブランド(職人気質なモノづくりをするブランドの総称)よりはずいぶんお安い。
一般的なドメスティックブランドだと、普通の綿のシャツが3万円、コートが10万円なんてのはざら。
場合によってはさらに高額になりますからね。
たしかに贅を尽くしてこだわり抜いた洋服は素晴らしいですが……。
いやー普通の人にはとてもじゃないが買えないだろう、と。
そこで
「じゃあ、セレオリとドメブラの『中間』くらいで買えるブランドはないの?」
「ドメブラは買えないけど、セレオリよりも良いものが欲しい」
となるわけですが。
「中間」のブランドはあまり多くないんですよね。
しかしコルニエはその数少ないひとつ、有力な選択肢だと思います。
もちろんコルニエの価格でも、一般的にはかなり高いと思いますが……。
見る人が見れば、「え、こんな値段で買えるの?」となりますよ。
良い意味で値段不相応。価格はセレオリ寄りですが、クオリティはドメブラ寄りと言えるでしょう。
「ドメブラと比べても遜色ないか?」と言われると必ずしもそうではないですが。
シルエットやパターンよりも、素材の良さが突出しているかな。
デザインはシンプルかつミニマルに、シルエットは今っぽくオーバーサイズに、素材はラグジュアリーに。
たとえばLEMAIREなど、クリーンなテイストのものが好きな人に刺さりそう。
良い意味でクセがないんですよね。
ただ素材には相当こだわっていますし、加工技術にも目を見張るものがあります(たとえば奄美大島で職人が1点1点手作業で泥染めしました、みたいな)。
ちなみにほとんどのアイテムがユニセックスとして展開されており、女性でも着用することが可能です(その場合はSサイズを選べばゆったり着られるかと)。
ただね……良いことばかりではありません。安く提供することのデメリットも確実にあります。
このコルニエというブランド、販売も自分たちで行い、卸し売りをしないことでコストカットしているのですが、店舗を持っておらず。
自社のオンラインストアでしか販売していないので、お店で現物を見ることができないのです。
現物を見るには、ポップアップに行くしかありません。
このポップアップは、東京・名古屋・大阪などでシーズンごとに開催されています(開催情報はInstagramやTwitterのコルニエ公式アカウントから知ることができます)。
じゃあそのオンラインストアが充実しているのかといえば、そうでもなくて。
わかりやすい着用画像がないので、サイズ感がほとんどわからないんですよね。
かといって、写真をもっと増やせば万事解決という単純な話でもなく。
コルニエの最大の売りは素材の良さだと思いますが、それはそもそもネット通販では伝わりづらいと思うのです(これはコルニエのせいというより、技術的な限界ですね)。
実際見てもらえればわかると思いますが、素材の繊細な風合いや、複雑な色合いなど、とても写真で伝えきれるものではありません。
なので、ポップアップに行って現物を見る→その場で注文する(送料無料になります)or後日オンラインストアで注文する、というのがやはり基本の流れになるのかなと。
ポップアップに行けないという方は、うーん……ちょっと冒険になりますね。
またオンラインストアは自己都合での返品もできないようなので注意が必要です(実際に確認したわけではないのですが、返品ポリシーを読むとそのように読めます)。
とはいえ、そのようなデメリットを上回る魅力があるのがコルニエ。
たしかに買いづらさはありますが、それは価格が抑えられていることの裏返しでもありますし。
セレオリでもなく、ドメブラでもなく、コルニエ、という選択肢が生まれたのは嬉しいですね。
こういうブランド、待ってました、という感じです。
さて、それでは2022年秋冬コレクションのレポートをしていきましょう。
先日ポップアップに行ってきたので、いくつか気になったアイテムをピックアップしてご紹介します。
当然といえば当然ですが、ネットの写真より、実物のほうがはるかに素晴らしかったですよ。
Cornier(コルニエ)の2022年秋冬コレクションをレポート
まず個別のアイテムについて触れる前に、サイズ感についてざっくり述べておくと……。
175cm、65kgの私で、トップスはMで良いかなという感じ。
もともとオーバーサイズに作られているので、Mでもゆったり目に着られます(もちろん厳密にはアイテムごとにサイズ感は異なりますが)。
あとはどう着たいか、ですね。よりルーズに着るならLを選ぶのも全然アリですし。
この辺りはドメスティックブランドのサイズ感をイメージしていただけると良いかと。
特別ビッグシルエットというわけではないですが、セレクトショップのオリジナル品などよりはかなり大きく作られていると思ってください(セレオリなら私はLサイズでもそこまで大きく感じないことが多いです)。
ドメブラのサイズ感に慣れていない方は、この点注意ですね。
さて、まず最初に取り上げるのがこちらのマウンテンパーカー。
VIRGIN WOOL/SILK HOODED JACKET |DARK NAVY
¥49,830
デザインはシンプルですが、素材のラグジュアリー感が半端じゃない。
超高密度に織った滑らかなウールシルク素材を使用しており、シルクならではの鈍い光沢を感じさせてくれます。
アウトドアなマウンテンパーカーを、極上の素材を用いることで、ここまで上品にできるんだ、というアイテム。
それはもちろんハイブランドが用いるような高級感のあるナイロンやポリエステル素材を使っても可能だとは思いますが、やはり化学繊維には真似できない、天然素材ならではの風合いがありますね。
シルエットはかなりオーバーサイズなので、そこは好みが分かれるかも。
袖をボタンで広げたり、裾をドローコードで絞ったりすることもできます。
色は黒とダークネイビーの2色展開(上のリンクはダークネイビーです)。
それからハーフジップのプルオーバーにも驚かされました。
WOOL MOSSER HALF ZIP PULLOVER |TOP GRAY
¥19,800
ハーフジップは今シーズンのトレンドですね。
注目すべきはやっぱり素材。
こちらウール100%のモッサー素材(縮絨加工を施したもの。メルトン素材と似ています)を使用しています。
モッサー素材はコートの生地にもよく使われる素材で、肉厚なのに軽いのが特徴。
見た目はふんわりしており、ソフトなタッチ。
なので決してペラペラというわけではなく、むしろがっしりした肉感のある生地なのですが。
こちらお値段2万円切るんですよねえ……。
ウール100%だし、ジップも高級感があるし。
驚きです。
同じくウールモッサー素材で、ジャケットも展開されています。
WOOL MOSSER OVERSIZED JACKET |TOP GRAY
¥39,600
これがまた良い。
素材の柔らかさと、ゆったりしたシルエット、パッチポケットなどのカジュアルなデザインとが相まって、気負わず気楽に着られるジャケットになっています。
肩のラインが落ちた丸っぽいシルエットがかわいらしい。COMOLIなどが好きな方にもおすすめ。
ジャケットになっても4万円切るんだからなあ……。
シャツも凄いです。
SUPER EXTRA FINE WOOL SHIRTS|NAVY
¥21,780
こちらはウール100%のシャツ。
コットンのシャツにはない光沢感や、ウール特有の落ち感があり、見るからに高級感があります。
ウールのシャツというだけならもっと手頃な価格でも買うことができますが、こちらは高級素材であるSUPER 140’sのウールを使用。
SUPER 140’sとは、ウールの原料の細さを表す指標で、通常のウールよりも繊維が細く、強い光沢感があります(このシャツ以外にも、商品名に「SUPER EXTRA FINE WOOL」と付いているものはすべて、SUPER 140’sの素材が使われています)。
デザインもシンプルで、そのぶん素材の良さを引き立たせてくれますね。
ボタンは、水牛ボタンを使用。
うーん。これで2万円は普通無理でしょう。
「ウールのシャツは手入れが大変そうだしなあ……」という方には、コットン100%のシャツも、もう少しお安い値段でありますよ。
¥17,820
ただ、これも普通のコットンシャツではなく。
素材が面白くて、実は表面にオイルが塗ってあるのです。
そのためオイルド独特の濃い色味・重い光沢感があり、ハリ感も強いですね。
オイルドのバブアーを見たことがある方は、それをイメージしてもらえるとわかりやすいかと。
ただしバブアーと違って、触ってもベタついたりはしないので、その辺の心配はしなくて大丈夫ですよ。
それからウールのシャツは、もうひとつあります。
¥21,780
こちらは先ほどのウールシャツに比べて肩幅・身幅が細く、わずかに着丈も長くなっており、よりインナーとしても向いています。
デザイン的にも、胸ポケットが省かれ、よりシンプルに。
また素材が面白くて。
この「PAPER WOOL」のシャツ、高密度に織ったウール生地に樹脂加工が施されているのですが……。
そのため強いハリ感があるとともに、色がくすみ、大変面白い色味になっているんですよね。
青みがかったグレー、カーキがかったブラウンなど。
光の当たり具合で見え方が変わるような、複雑なニュアンスカラーになっています。
ちなみにこの「PAPER WOOL」、シャツだけでなく、ジャケットやパンツ類も展開されています。
特にM-47カーゴパンツは面白かったですね。
ミリタリーテイストのパンツなのですが、上品なウール素材を用いることによって、スラックスのような雰囲気に。
「PAPER WOOL」のコートも出ています。
PAPER WOOL DOUBLE LONG COAT|SMOKY BROWN
¥50,600
こちらはダブルブレストの、ウエストベルト付きのロングコート。
他の「PAPER WOOL」のアイテム同様、ウール100%です。
ハリ感のある軽く薄い生地、ゆったりした、やや曲線的なシルエットなど、少しレディースっぽさを感じるところもありました(もちろん男性が着ても全然おかしくないですよ)。
ダブルブレステッドのコートにありがちな堅苦しさが軽減されており、着やすかったですね。
真冬にも対応できる、より本格的なコートならこちら。
SUPER EXTRA FINE WOOL LONG COAT|NAVY
¥55,000
SUPER EXTRA FINE WOOL CHESTER COAT|NAVY
¥52,800
同素材で、ダブルブレステッドコートとチェスターコートの2モデルが用意されています。
ウールの生地を2枚重ねているらしく、かなり肉感のある、もっちりした生地になっています(組成表示にコットン3%とあるのは、2枚のウール生地を内側で縫い合わせている糸がコットンだからだそうで。なので表にコットン素材が出てきているわけではありません)。
起毛加工をしており、ふんわり柔らかい、ソフトなタッチ。
最初に紹介したシャツと同様、SUPER 140’sの高級ウールや水牛ボタンを使用しており、風合いも抜群。
これ約5万円ですが、とても5万円台では作れないクオリティのコートですね。
そもそもコートで5万円という価格が絶妙なんですよね。
探せばわかると思いますが、5万円のコートってけっこう中途半端な価格帯なので、なかなか見つからなくて。
セレクトショップのオリジナルのコートは2-3万円くらいで買えたりしますが、それより上になると7-8万円くらいと一気に跳ね上がってしまうのです。
とはいえ誰もが高価なコートを買えるわけではないですし。
5万円で買えるコート、という選択肢が増えるのは嬉しいですね。
ただこちらのコート、「5万円らしいコート」ではありません。
さすがにドメスティックブランドの10万円を超えるようなコートと比べると見劣りはしますが……(インフルエンサーの方々のように大げさなことは言いたくないので、正直に言いますよ)。
7-8万円のコートと比べても見劣りしないくらいのクオリティー。
「この冬、良いコートが欲しい!」という方。
こちら非常におすすめです。
以上、コルニエの2022年秋冬コレクションのレポートでした。
紹介できたのはごく一部ですが、少しでも魅力が伝わっていたらいいなと思います。
極上素材の洋服を破格で手に入れることができるコルニエ。
普段ドメスティックブランドの服を買っている方はもちろん、ちょっと背伸びをして、何か1着良い服が欲しいなという方にもおすすめです。
ぜひチェックしてみてください。